第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
政宗「報告なら朝済ませたぞ」
慶次「さあな、俺に聞くなよ」
長身の二人が並んで立つと、身長がそこそこの私は向こう側が見えなくなる。
壁のように視界を塞ぐ二人は、スタイルが良いから立ち姿も素敵で、眼福とはまさにこのことだ。
(うーん、二人ともカッコイイな)
政宗「慶次、俺の代わりに聞いてこい」
慶次「はあ?」
「ちょっと政宗、相手は信長様なんだから、適当なこと言ってないで早く行きなよ」
政宗「やなこった。小難しい話より料理しながら舞と遊んでいた方が楽しいからな」
(……この人、奥州を治めてる現役バリバリの戦国武将だったよね?)
理由がどうしようもなさすぎて、政宗の本職を確認してしまった。
「だーめー。私だってあと四半刻(30分)したら午後の仕事に行かなくちゃいけないんだから」
暇人じゃないんだからとねと偉ぶってみれば、政宗と慶次が同時に吹き出した。
イケメン二人に笑われる理由はわからないにしても、何か、絶対やらかしたようだ。
「え、な、なによ」
慶次「舞……仮にもお前、姫さんだろうが。顔に泥が飛んでるぞ」
慶次が『あーあ』という顔をして、懐の手ぬぐいを探している。
政宗「泥じゃねえな、ごぼうの汁が飛んだんだろ。それが乾いて泥が飛び散ったみたいになってる」
「えぇっ!?飛び散るって、そんなに酷いの?」
政宗「ああ」
そういえばゴボウをゴリゴリやっていた時に、表面についていた水が顔にあたった記憶があった。
ゴボウの灰汁が混ざっていたに違いないと、慌てて手の甲で頬や口元をこすった。
「うぅ、どうしよう、これから仕事だってあるのにぃ…」
慶次「情けない顔すんな。濡れた布で拭けばとれる。
政宗は早く行ってこいよ」
慶次は木桶に水を移して、手ぬぐいを濡らしている。