第22章 あの夜に触れたもの(謙信様・誕生祝SS)
護衛「どうされましたか!?あ……」
声に反応した護衛の人が襖を開けて、目を丸くしている。
護衛「し、失礼しました!」
すっかり誤解されて襖は閉じられてしまい、私はオロオロと戸惑った。
助けを呼べば謙信様が起きてしまうし、なにしろこの状況を再度見られるのは恥ずかしい。
自力で抜け出そうとすると、謙信様の腕の力が強まった。
さらには「あたたかい…」なんて言われてしまうと動けなくなってしまった。
「け、謙信様……?」
謙信「ん…」
何度呼びかけても規則正しい呼吸音のままだ。
そのうち長い足が絡んできて、どうもがいても逃げられない。
緩やかに日が沈み、部屋は薄闇に、そして真っ暗になってしまった。
通常ならば女中さんが明かりを付けにくるんだろうけど、誤解されたままなので誰も部屋には入ってこなかった。
謙信様は眠り続けている。
こんなに隙だらけの謙信様なんて初めてだ。
「私の温もりが心地良いなら喜んで抱き枕になりますよ。謙信様」
硬い胸におでこをコツと当てて、最初はドキドキしていた私だったけれど、いつしか眠りこんでしまった。