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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)


(以下、本文を抜粋して訳付け)

――――

「やっとできました。見てください!」


信長にも理解できる言葉で喜び、嬉々として手元の布を女に見せている。
女は刺し子の目を数え、最後に全体を見て大きく頷いていた。
そこで5人ばかり子供の数が増えて二人の会話をかき消してしまう。
『お兄さんたち、こんなところに隠れて何やってるの』と聞かれて、静かにするよう促す。

そうすると二人の声が聞こえてきた。
どうやら会話は刺し子とは違う内容に移ってしまったようだ。


女「おらほの(わたしの)まま(おじいさん、今回の場合、旦那さん)だっきゃよ~(…たらさ)、こったらに(こんなに)にんげえ(苦い)薬飲まれねぇって、(薬を飲めないって)ごんぼほってなぁ(だだをこねる)、しがたねぇって(仕方がないって)、やっと薬飲んだと思ったら、口がにんげぇって(口の中が苦いって)、その後がっこばっか(お水ばっかり)飲んで腹壊してんだ。どうもなんねえべ(どうにもならないでしょう)」

(全文訳)「私の旦那ったらさ、こんなに苦い薬を飲めないって駄々をこねて、仕方がないって、やっと薬を飲んだと思ったら、口の中が苦いって、その後お水ばっかり飲んでお腹を壊したんだよ。呆れるでしょう?」


「そりゃあ、まいねぇ(ダメ)なあ」

(全文)「それはダメだね」


女「そんでなさぁ(それで)、いいもん(良い物/栄養ある物/高価な物)食えば(食べれば)いぐなる(良くなる)がと、まま(ご飯)炊いて、えんれぇ(すごく)立派な魚もらってきてこさえて(作って、料理して)やったのに、『こったに(こんなに)かれねえじゃよ(食べられない)』ってよ、はあもう(ああもう)面倒だって、あだま(頭)ふったらいで(叩いて)やった」

(全文訳)それで良い物を食べれば良くなるかと思って、ご飯を炊いて、すごく立派な魚をもらって(買って)きて料理してあげたのに、『こんなに食べられるわけないじゃん』って言うんだよ。
 あーもう!面倒だって、頭を叩いてやった。

「ぷっ……ふふふふ!!」


こらえきれなかった笑いは、次第にアハハ!という大きな笑い声に変わった。
安土城で見たことのない大笑いに、信長は面白くなさそうに政宗を振り返った。


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