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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)


――――

師走の29日。
城の廊下を、厚着して出かけようとしている舞の姿があった。


政宗「今日も商人のところに行くのか?」

「うん!年が明けたら、別のところに行くって言っていたから、今のうちに会っておきたくて。
 津軽の言葉を聞いていると、すごく懐かしいんだよね」


祖父母は亡くなっているし、500年後に里帰りできない舞にとって、訛りまくった津軽の言葉が、故郷に触れられる唯一のことだ。

嬉しそうにする舞の顎をとらえ、政宗が顔を寄せた。
間近に迫る瑠璃色に舞は息をのんだ。


政宗「そんなに陸奥の言葉が懐かしいなら、俺のところに来ればよかっただろう。
 陸奥出身は少ないが、時々居るぞ」


舞は政宗の手首をつかんで、顎から手を外させた。


「さりげなく誘ってくるところが、流石政宗だね。
 いいの。安土に居ると地方からもたくさん人が来るから、色々な言葉が聞けて楽しいんだから!」

政宗「各地域の言葉を聞いて楽しい、か…。
 ふっ、お前らしいな」

「政宗はそうじゃないの?私はね~、関西圏の言葉って憧れちゃうなぁ」

政宗「お前、さりげなく奥州の民を敵に回したな」

「え!?ち、違うよ。
 ほ、ほら京都とかさ、『おきばりやす』とか『かんにんえ』とか、品があって素敵だと思わない?」

政宗「てことは陸奥や奥州の言葉は品がないってことか?」


政宗はにやにやしながら舞を揶揄っている。


「ち、違う!なんてこと言うのよ!東北民に嫌われたらどうしてくれるのよっ!
 東北の訛りは『あたたかい感じがして好きー』なんて言われるんだから」

政宗「東北ってなんだ??」

「いいの、東北が何かだなんて気にしなーい。
 関西圏でも特に、京ことばはとにかく憧れがあるんだよね。
 なんていうか、しっとりしてるっていうか、ほわっとしてるっていうか」

政宗「ふーん、そんなもんかねぇ?」


私が熱く語っているのに、政宗の反応は薄い。
方言にあまり興味がないのかな、と思っていると、正面から光秀が歩いてきた。


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