第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
三成「ブリは井戸にはおりませんよ。海の生き物ですから」
「う、ん?」
三成に諭すように頭を撫でられて、舞は対応に困っている。
家康「いや、お前の訂正もおかしいから」
「ぷ、ふふ」
三成「そうですか?ではこの桶を下におろして…」
「桶は洗わなくて良いの?」
三成「朝一番に使用した者が、おそらく手入れをしたと思います」」
「そうなんだ」
秀吉「舞~~、信長様が探してるぞ~」
いよいよ桶を下にという時に、廊下から舞を呼ぶ声がした。
井戸から水を汲むという行為が新鮮だったので舞は秀吉に手を振った。
「今忙しいから、後にしてって言っといて~」
家康と三成がぎょっとしている。
家康「何言ってるの。信長様の命令は絶対でしょ。早く行きなよ」
「やだ~。井戸の水を汲んでみたい」
三成「信長様に叱られてしまいますよ?」
少々の焦りを見せた二人に、舞は手をひらひらと振った。
「いいのいいの、どうせ、隣に座ってるだけだから。
朝から晩まで隣に座ってろなんて、信長様ったら意外と束縛系だよね。
まあ、そんなところも良いんだけどさ♪」
惚気ながら、しかし縄のついた木桶を下に落とし、『この後どうするの?』と目を輝かせている。
秀吉「舞―!」
家康「あー、うるさい。さっさと水を汲んで、行かせよう」
家康は着物の袖をめくって縄をとった。
三成「あ、舞様、そんなに身を乗り出しては落ちてしまいますよ」
「わわっ!?」