第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
ようやく……と思ったら、そこは……
「ここ!信長様の布団じゃないですか!!」
慌てて起き上がろうとしたが、両手をやすやすと捕まえられてしまった。
上からのしかかられ、舞の顔が引きつる。
「お、穏便に話し合いをしたいと思うのですがいかがでしょうか。この状況は一体?」
信長「俺のものにしようと褥に連れてきただけだが」
憧れの信長が眼前に迫り、舞は『ひ~格好良い!』と内心で悶絶する。
「いやいや、だから、別に同情してくれなくても…」
信長「いらぬこと言わずに俺のものになれと言っている」
「は、はい!」
俺様口調が大好きな舞は若干頬を染めて、即効頷いた。
組み敷いている体に信長は手を這わせ始める。
信長「きゃんきゃんとうるさく、態度も所作も悪いが、貴様のことは気に入っている。
こうして昼間から閨に連れ込むくらいには」
「え……信長様が、私を…気に入ってる?
拾ってきたわんちゃんが意外と可愛いすぎた、みたいな?」
信長「貴様をそのへんの野良犬と並べるな」
「ものの例えですよ!だってどう考えても釣り合わないでしょう。だって…」
信長「貴様が安土に来てからは何故か知らんが軍の士気があがり、負け知らずだ。十分に益をもたらしている。
それに貴様は阿呆だが、救いようのない阿呆でもない。各地の武将が知らぬ言葉を使いこなし、知識を有している」
「知識ですか…?」
高校のテストでは中の中くらいの順位だったし、専門的な知識を持っているわけではない。
なんのことかと舞は戸惑った。
信長「こぎん刺しは安土にいる面々、知らぬものだった。
それにだ、『江戸時代』とはなんだ?
『戦国時代』というのは恐らく、今の戦国の世のことであろう。飛鳥、奈良、鎌倉の時代は知っているが、俺は『江戸時代』は知らん」
舞は思いっきり顔をしかめた。