第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
信長「帰るところがないといっていただろう。
貴様が望むなら俺が貰ってやる」
「仕方なく貰ってもらっても…。
愛のない結婚生活なんて嫌ですし、拾った義務感でそこまでしていただかなくても結構です」
信長「だから貴様は阿呆なのだ」
「くっ、バカって言われるよりアホって言われた方がダメージあるのに!
しかもアホじゃなくて阿呆だし!!キ~~~!」
またしても舞は暴れたが、逃げられないよう足をしっかり掴まれている。
信長「だれが『仕方なく』『義務感』で貴様を貰うと言った?」
「だってそうじゃないんですか?どーせ信長様は、私を娘みたいに思ってるんでしょ」
信長「そんなことを言った覚えはない」
「言われなくても態度でわかりますって」
今や信長の足は天主へと向かう階段を上っている。
城門からずっと俵のように担がれ、舞の頭には血が上っている。
正直、階段を上る振動がキツイ。
「頭に血が……。早くおろして欲しいです、信長様」
自由な手で、信長の背中を軽く叩いて訴えた。
信長が声をかけるまでもなく襖がすっと開いて閉まった。
蘭丸「あれ、この足は誰ですか?」
情報を流していた小姓の代わりに、蘭丸が天主に控えていた。
手を貸してくれそうな人物に舞は助けを求めた。
「蘭丸君?お願い、降ろして~。降りたい!!
頭に血が上ってどうにかなっちゃいそうなの!鼻血でちゃうかも!」
蘭丸「舞様!?何か、悪いことしたの?」
「うーん、したつもりはないんだけど、なんでかお仕置きなの」
蘭丸「えー?なにそれ」
普通に会話をしているが、舞は信長の背中しか見えないし、蘭丸も舞のお尻と足しか見えない。
信長は自分を挟んで会話をする二人に苛立ち、蘭丸にさがるように命じた。
蘭丸「ごめんね、舞様。信長様の命令は絶対だから!」
「うーん、蘭丸君。あとでめちゃくちゃ愚痴ってやるんだから」
蘭丸「いくらでも聞いてあげるよ!じゃあね☆」
明るい声は去り、舞が落ち込んでいると、信長が屈みこんで降ろしてくれた。