第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
信長は教えろと言うが、本能寺の夜に舞が『500年後から来ました』と伝えたら、信長と三成に『気が動転しておかしなことを口走っている女』という目で見られた。
それ以来、身の上については誤魔化し続けていたのだが、まさか言葉の使い方でここまで追求されることになろうとは舞は予想していなかった。
信長「舞の身の上はいずれ暴くから覚悟していろ。
今、俺の知りたいところは貴様の相手だ」
「え、またそこに戻るんですか?そんなの後にしてください」
信長「そんなのではない。お前の嫁ぎ先によって天下の安寧は遠ざかりも近くもなる」
「はあっ!?」
信長「なにを驚いている。貴様は仮にも安土の姫だろう。自覚しろ。
相手は偉いだけで務まらん。織田に益をもたらすと俺が認めた男でなければ許さん」
「ええ…と、それは…どう、かなぁ、ははは…」
政宗「それは大変だな。精進した方が良いか、舞?」
暗にお前の想い人は俺か?と政宗が聞いたが舞の視線は泳いでいる。
信長「どうした。お前の意中の相手は政宗なのか?
それならば世話をしてやる」
舞はチラと信長を見てしょんぼりする。
さっき安土の武将の名前を挙げた時、信長は自分の名を口にしなかった。
天主に呼ばれて顔が見たかったなどと言われて少し期待していたのにと、舞はがっかりした。
家臣とちょっと口をきいただけで『何を話していた』とか、さっきみたいに『嫁にやらん』とか、『城下で知らぬ男と話すな』と、いつもいつもお父さん発言ばかりだ。
極めつけは今の『世話してやる』だ。
ぜんぜん引き留める気配がない。
(信長様は私のこと眼中にないんだろうなぁ…)
恋愛対象に入っていないんだと思うとがっかりする。
勝手に好きになっただけなのだが、こうも全く相手にされないと傷つく。
(現代に居ないんだよね。このドSでちょ~~偉そうな感じ)
(頭良いし、凄く格好良いし…。頼りになるし。怖いけど怖くないし、時々可愛いし…)
何を隠そう、信長のビシバシ、オラオラ系が舞のストライクゾーンなのだ。
それなのに『政宗との結婚を世話してやる』と言われて、もう泣きたい。