第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
政宗「それでさっきの『萌える』は、信長様に例えると『金平糖に萌える』って感じか?」
怒っていた舞の口元がゆるゆるとなったが、なんとか自制したようだった。
「うん?近いけど、もっとこう……熱烈な感じかな。
例えると大陸から渡ってきた戦術書で埋め尽くされた部屋に三成君を連れていったとするでしょ?そうすると三成君は萌えると思う!
それとか、日本全国のお茶の名産地からお茶っぱを集めてきて並べて、どれが好き?って、聞いた時の秀吉さんとか。
好きで好きで、胸がキュンとするというか」
信長「きゅん?」
政宗がなるほどと言う顔をして言った。
政宗「わかった。じゃあ、秀吉がお前のために呉服屋を呼び寄せて、ずらっと並んだ着物を身を乗り出して選んでいる時っていうのも、萌えてるってことか?」
「うんうん、近いかも。っていうか秀吉さんって、そんなことしてるの?
あとは、そうだな~。ほら、光秀さんもこの間、南蛮から届いた最新型の長銃を見て萌えてたの知らない?」
政宗「無表情で眺めてたが、あれが萌えてたのか?」
「うん!あれは絶対萌えてたよ。
目がキラキラしてたしょ?さりげなく撫でてたし!」
政宗「なるほどな、なんとなく萌えるの定義がわかった気がする」
「良かった!で、信長様もわかりましたか!?」
信長「大体理解した。が、お前の故郷は同じ言語でも意味合いが違うようだな。
聞き流してやったが『やばい』の使い方も妙だ。『ガチ』の意味もわからん。
お前の故郷とはどこだ?この女には帰るところがないと打ち明けていたようだが…」
信長は、のんびり座っている美代をちらりと見た。
「故郷については何も言えませんと常々言っているじゃありませんか。
とにかく帰れないんです。日ノ本ですが、ちょっと、えーと、津軽より辺境なところにあって、言葉遣いも特殊なんです」