第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
信長「貴様が分かって俺がわからないのは気に食わん。
早く教えんと、貴様は一生嫁にいけないと思え」
「えっ!?それは困る!!じゃない、困ります!」
舞笑いを引っ込め、途端に慌てている。
「『こわい』っていうのは『疲れた』とか、『ちょっと痛む』とか、そんなニュアンスで使います。
だからさっきのは、『はー、疲れた、疲れた』って感じです
腰が痛む時などに『腰がこえーなぁ』というふうに使います」
説明しているうちに、また笑いがこみあげたのか、時折つっかえながら、合間に『ぷ』と笑いを挟んでいる。
信長「ニュアンス?貴様、この間もイケてる、びしばし、オラオラと訳のわからんことを言っていたな。
もしや『燃える』も『こわい』と同じで、何か違う意味があるのか?」
「イケてる、びしばしって、ぷっ!あははは、す、すみません!
信長様の口からその言葉が出てくるなんて、ガチでやっばいです!あはは!」
涙を浮かべて笑っていたが、信長の凍えるような視線に気づいて、コホンと咳ばらいをして仕切りなおした。
「えー、ニュアンスは英語…南蛮の言葉です。
イケてるとか、ビシバシなどは私が生まれ育った場所の言葉です。
『燃える』っていうのは火が燃えるとか、そういうのじゃなくて、たけかんむりに明るいって書いて『萌える』です。
ある物事や、特定の人に『好き』!みたいな?」
信長「陸奥の言葉の他に、故郷の言葉、南蛮の言葉か。
お前は存外、言葉を知っているのだな」
「いやあ、それほどでも~、陸奥の方言は祖父母の出身地なので知っていただけですし。ははは…」
未来から来たと明かしていない舞は、から笑いをした。
政宗「へえ、祖父母が陸奥の出なのか。それで使いこなせるとはたいしたもんだ」
「うん、両親が早くになくなっちゃったから祖父母が育ててくれたの。
この間城下を歩いていたら津軽弁が聞こえてきてね、言葉が通じなくて困っていたから、こうして毎日会って言葉を教えてあげていたんだ。
まぁ、途中から世間話になっちゃうんだけど」