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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)


――――

信長「ここか」

政宗「はい。わからないところは通訳しますので言ってください」


寺が近くなり、舞の声が届くところまで来ると、信長と政宗は姿を見られないように近くの茂みに身を隠した。

舞と中年の女が並んで腰かけている。
女の身なりは商人のそれで、少々古びていて継ぎはぎだらけだ。
二人の手には布と糸があり、額を寄せて目の数を数えて、あーだこーだ言っている。
どうやら刺し子のやり方を女に教えてもらっているようだが、信長が来たタイミングで押し黙って作業をする二人に、政宗は苦笑している。

子供たちが二人の前を言ったり来たりしても集中力は途切れず、舞は手を動かしている。


信長「しゃべらんな」

政宗「ですね」


だがここで出て行って、『何か話してみせろ』というわけにはいかず、二人は辛抱強く待った。
そうして四半刻が経った頃、ようやく舞が手を止めた。


「やっとできました。見てください!」


信長にも理解できる言葉で喜び、嬉々として手元の布を女に見せている。

女は刺し子の目を数え、最後に全体を見て大きく頷いていた。
そこで5人ばかり子供の数が増えて二人の会話をかき消してしまう。

『お兄さんたち、こんなところに隠れて何やってるの』と聞かれて、静かにするよう促す。

そうすると二人の声が聞こえてきた。
どうやら会話は刺し子とは違う内容に移ってしまったようだ。


女「おらほのままだっきゃよ~、こったらににんげえ薬飲まれねぇって、ごんぼほってなぁ、しがたねぇって、やっと薬飲んだと思ったら、口がにんげぇって、その後がっこばっか飲んで腹壊してんだ。どうもなんねえべ」

「そりゃあ、まいねぇなあ」


笑いをこらえるように舞は口元を押さえているが、肩が小刻みに震えている。

信長の眉間に皺が寄った。

女の口が早すぎて、語尾の「よ~、って、っべ」しか聞き取れない。これならば隠語で会話していると思われても仕方がない。


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