• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)


政宗「その話、まだ解決してなかったんだな。
 さっき商人と舞の会話を聞いてきた。あいつらは隠語なんか使ってない。
 れっきとした日常会話だ」


自信も露わにどっかり座った政宗に、秀吉は『あれが日常会話?』と怪訝な顔つきだ。

政宗の隣に座った慶次は天主を見回して満足げに頷いた。


慶次「役者は揃っているみてえだな!
 秀吉がお困りのようだったから、ちっとばかし動かせてもらったぜ」


何か掴んでいる様子の二人に、信長は発言を許した。


信長「慶次、政宗、報告しろ」

慶次「まず舞の様子を見に行きましたが、確かに変な言葉を口走っている。
 だが俺はあちこち放浪した身だ。ちょっと通ずるところがあって、政宗に協力を頼みました」


慶次に視線を送られて、政宗は続けた。


政宗「慶次に連れられて寺の境内に行ってみれば、あいつらは陸奥(むつ)の言葉で世間話しているだけだ。
 しばらく聞いていたが何も怪しいことは言っていなかった。
 信長様、舞は無罪です」

秀吉「陸奥の言葉だと?」


陸奥は政宗が治めている奥州のもっと北に位置している地だ。
道の奥の奥。冬は雪で閉ざされる極寒の地。

天主に集まった一同、地名は知っているが、誰一人足を踏み入れたことがない辺境の地だ。


政宗「もっと細かく分けるなら津軽だな」

光秀「あれが……同じ日の本の言葉だというのか?」


驚いているのは二人だけではなく、家康もだった。三成だけが確証を得て朗らかに笑っている。


三成「やはりそうでしたか。書物には『陸奥(むつ)の言葉は余所者が聞いたところで、何を言っているのかわからない』と記されておりましたので、もしかしたらと思ったのです」

政宗「訛りがきつくて俺も半分は聞き取れなかったが、あの商人は陸奥の津軽出身ではないかと。
 光秀の有能な家臣といえども、津軽とは無縁の者だろ?
 慶次は以前、庄内を放浪したことがあったらしく、訛りの共通点に気が付いて俺のところに来たんだ」


政宗は愉快そうに笑った。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp