第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
ズンズンと廊下を歩く足音だけで誰が来たかわかる。
慶次「なーに、男三人でコソコソやってんだ?」
家康「別に…。大晦日の宴の打ち合わせをね」
家康がちらりと視線を送ると、秀吉は首を小さく横に振った。
この件に関して慶次は何も知らないという意味だ。
慶次「その割と暗い顔だったがなぁ?」
家康「別に。いつもこういう顔なんで」
舞に内通者の容疑がかかっている。それも疑惑は深まるばかり。
家康はそれを知ったばかりで頭の整理が出来ず、素っ気なさに拍車がかかった。
慶次は一瞬何か探るような目をしたが、3人は気づかずに大広間に戻っていった。
3人の後ろ姿を見送る慶次の顔には、いつもの笑顔はない。
慶次「ったく、もう少しで新しい年が来るってのに何を悩んでんだか。
ちょいとばかし首つっこんでみるか」
そう言って、慶次もまた三人の後ろをついて広間に戻っていった。