第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
信長「早く話せ」
男「はっ。姫様は護衛を遠ざけてからお話をされます。内容は聞き取れません」
政宗「隠密にも聞き取れないような小さな声で話してるってことか?
それなら子供の声にかき消されて会話にならないだろうが」
忍びであれば、多少離れた場所での会話は聞き取れるように訓練されている。
それが出来ない場合は読唇術という手段もあるのだが、隠密の男は聞き取れなかったという。
信長「どういうことだ」
男「口の動きを読むまでもなく、声は聞こえているのです。
商人の声は大きく、それはもう大っぴらに話しているのですが、例えようもない難解な言葉を使っている上に早口で、何も聞き取れませんでした」
信長「難解な言葉とはどのようなものだ。聞き取れた言葉だけでも言ってみろ」
男「それが…単語を拾うことも難しいのです。まるで異国の使者達が話しているようでした」
隠密の男がわかったのは『安土』『信長様』という言葉だけだという。
秀吉「単語を拾えない?どういうことだ」
男「我らが仲間内で使う隠語のようなものかと。他人に聞かれても一切わからないようにしているのかもしれません」
秀吉「舞が……内通者かもしれないってことか」
最近、信長の動向が漏れて襲撃されることが頻発していた。
………疑惑の目が舞に向いた瞬間だった。