第20章 空からサンタが降ってきた(謙信様)
「舞ちゃん、すっごいイイ!可愛い!
信玄様、いちころだよ、きっと!」
舞「だと良いんですけど…、こんな短いワンピースを着たことがないので心許ないです。
舞さんの方こそ素敵ですよ!ウエストが理想のラインです。羨ましいなあ」
「ふふん!謙信様のために、こっちに来る前から鍛えてたの!
舞ちゃんも一緒にどう?早ければひと月で効果を感じると思うよ!信玄様に色仕掛けしてみたら??」
舞「や、やってみようかな」
隠そうともしないパタパタという足音と赤裸々な会話。
信玄は苦笑いして、謙信も杯をあてた唇にやや弧を描かせている。
信玄「500年後は女同士であんなに正直に物を言い合うんだな。
恋仲のために協力し合うなんて可愛いもんだな」
謙信「………ああ」
遠慮もなく襖があくと、そこにはサンタクロースの姿をした舞と舞が居た。
並んで立つと対になる髪型は可愛くまとめられ、化粧も普段より華やかだ。
手に持っている大皿にはホットケーキの出来損ないのようなものが乗っていて、それはケーキの材料がない中、二人が試行錯誤で作った精一杯のクリスマスケーキだった。
舞と舞は横目でタイミングを合わせると満面の笑みを浮かべた。
この世には無かった大胆な赤い衣装と、向けられる愛情いっぱいの笑顔に、謙信と信玄は眩しそうに眼を細めた。
ある日突然現れた女達は、それぞれ愛し愛される相手を見つけて心の底から幸せを叫んだ。
越後に降り積もる雪のように、たくさんの幸せが自分達に降り積もるように願いながら…。
「「出会えて幸せです!!ハッピークリスマス!!」」
END