第20章 空からサンタが降ってきた(謙信様)
おまけ
カラメル焼きを受け取った舞がしきりに感激している。
「謙信様が、私のために…。もったいなくて食べられないです」
謙信「いくらでも作ってやるから食べろ。
食べてくれないと作ったかいがないだろう」
「そうですよね。ではいただきます。
わぁ、戦国時代に来てから一番の甘さです!
ううん♪このハッキリとした甘さ…美味しい!」
謙信の手作りおやつに舞の手が止まらない。
謙信「そんなに一気に食べると口が甘ったるくなるだろう。
ほら、茶を飲め。熱いから気をつけろ」
膝に抱いている舞の手から菓子を取り上げ、茶を差し出す謙信。
熱いからと言うが万が一でも火傷をしないよう、いつも舞の茶は温い。
「へへ、ありがとうございます」
湯呑を傾けている間、謙信はずっと舞の頭を撫でている。
推しの愛情を受けると、舞はバターのように蕩けそうになる。
まして今は甘いお菓子を食べた後なので、甘く溶けるシュガーバターの気分だ。
「謙信様、私、幸せ過ぎて溶けちゃいそうです」
謙信「それは困る。どうしたら溶けずにいられる?」
「以前のように素っ気なくされれば…」
謙信は難しい顔で首を振った。
舞を抱く腕に力がこもる。
謙信「舞を甘やかすなというのは無理だ」
「じゃあ、やっぱり溶けて甘いバターという食べ物になってしまうかもしれませんね」
くすっと笑いをこぼした唇にフワリと唇が下りてくる。
少しひんやりとする薄い唇は謙信のもの。
「ん…」
謙信「すでに甘くなっているな。もっと溶けてバターとやらになるか?」
唇をずらし、キスの雨を降らしながら謙信は囁く。
色違いの双眸には急激に沸き上がった熱があった。
謙信「俺の腕の中でなら、いくらでも溶けていい。
舞、愛している。そろそろお前に触れさせてくれ」
頬をなでられ、迫りくる美貌に舞は目を瞑った。
やがて蕩けた熱に灼熱が入り込み、執拗に溶け合った。
謙信「俺もお前に溶かされそうだ。どうしてくれる?」
「私はもう溶けてます…」
謙信「ふっ」
「フフ」
外の大雪をも溶かしてしまいそうな二人。
甘く蕩けるホワイトクリスマスは、夜が明けるまで続いた。