第20章 空からサンタが降ってきた(謙信様)
こうして私は春日山城に住まうことを許されたが、到着して早々通されたのは城内ではなく牢屋だった。
ひとえに『あいつは妙に暑苦しい』という謙信様の偏見?だったけど、私はと言えば……
「きゃー―――――――!春日山の牢屋だわ!!
牢屋に来たってことは、謙信様ルートに突入ってことで良いのかな、良いよね!?
ああ、感激、どうしよう。
へえ、牢屋ってこんな感じなのね。ふんふん、あーなるほど。こんな感じで腕が通るわけだ……。
ていうか寝ても覚めてもここに居るってことは、夢じゃないんだよね!?やったー!」
なんて大喜びして牢番の人達に奇異の目で見られ、報告を受けた謙信様は気味悪がって、しばらく牢屋に来てくれなかった。
偽物のサンタだと知れた時はひと悶着あったけど、佐助君の助力もあってなんとか治まった。
その後も本家と多少の違いはあるものの、謙信様ルートにのって少しずつ関係を深め、数か月後にはめでたく両想いになった。
ほぼ私の努力とゴリ押しみたいなもので、でも謙信様のことは誰にも譲れないと人生で一番頑張ったと思う。
受験よりも就職活動よりも卒業論文よりも頑張った。
なんたって相手はあの謙信様だもの、現代の生ぬるい壁よりも断然高くて強固だった。
あれだけ頑張れたなら就職内定率100倍だろうが突破できそうだし、大学を首席で卒業できそうな気がする。
そのくらい謙信様の心の傷は深く、閉じた心の扉は開かなかったのだ。
そうそう…謙信様と恋人になった以外にも、もうひとつ嬉しいことがあった。