第19章 蘭丸君とメリークリスマス(2022年)
蘭丸「三成様、それは舞様の秘密だよ。
だからこの場だけにとどめておいてね?」
三成「わかりました」
(ナイスフォロー!蘭丸君!)
秀吉さん達がようやく部屋を出ていった。
脱力気味に座布団に座ると、蘭丸君が我慢できないって顔で笑い出した。
蘭丸「ハハ!舞様の言い訳がおかしすぎて、プ、笑いをこらえるのが大変だったよ」
笑う合間にとぎれとぎれ言う蘭丸君をジト目で睨む。
「とっさに出たのがアレだったんだもん、仕方ないでしょ」
蘭丸「ふふ、慌ててる顔、可愛いかったな。
年上の女性がこんない可愛く見えるって、そうはないよ」
そう言って、涙目でクスクスと笑い続けている。
「そんなに笑わないでよ、もう…」
自分でもあの言い訳はどうかと思うので、苦笑いしか出てこない。
1人クリスマスは静かに終わるはずだったけど、どう転んだのか、凄く楽しい。
蘭丸「ごめんごめん、もう笑わないから、干し肉の味見とご飯にしよう。
まだ少ししかクッキーを食べてなかったんだ。今度また作ってくれる?」
「うん!たくさん作ってあげる!」
蘭丸「嬉しいな…、あ!そのクッキー、俺の大事な人に、おすそ分けしても良いかな?」
「いいよ!もしかして恋仲の人?」
蘭丸君の黒目がちな目が大きく開かれた。
蘭丸君に好意を寄せている女性は多数だから、恋仲が居るとなるとビッグニュースだったけど、どうやら予想は外れたらしい。
蘭丸「さっきから舞様に可愛いって言ってるのに、恋仲がいるわけないでしょ?
そんなに軽くないよ、俺」
(ドジっぽい私を愛でる意味で『可愛い』だろうから、恋仲が居ても使っても良いと思うけどな)
蘭丸「その顔、全然伝わってないんだね。悔しいなぁ」
「え、何が?」
蘭丸「いーの、いーの!この話はまた今度ね。
クッキーをあげたい人は家族みたいな人なんだ。ちょくちょく会いにいけないから、いつもお土産を持っていくんだ」
「そうなんだ~。じゃあ、腕によりをかけて作るから、予定が決まったら言ってくれる?」
蘭丸「靴下の形がいっぱい欲しいな。
渡す頃にはクリスマスは終わっているけど、その人のところにも素敵な縁や、贈り物、良い報せが届けば良いなって思う」
「蘭丸君はその人のことが大好きなんだね」