第17章 あなたの愛に完敗(光秀さん)(R18)
(姫目線)
昨夜は散々抱きつぶされて、目を覚ましたのは昼過ぎだった。
恥ずかしいことをいっぱい口走った気がして落ち込んだけど、目を開けたら夢のような光景が広がっていた。
(み、光秀さんが寝てるっ!!?)
御殿の雨戸はいつの間にか開けられていて、廊下から差し込んでくる日差しが障子戸を明るく照らしていた。
銀髪を輝かせ、静かに胸が上下している様子が見て取れた。
スー、ス―、と規則正しい呼吸は、聞いているだけでときめいた。
(ど、どうしよう…格好良いし、無防備でなんか可愛い!)
いつも意地悪を言う唇は閉じられ、なんでも見透かす鋭い眼も閉じられている。
光秀さんに対して何も警戒しなくて良いなんて…信じられない。
(よーし、良いもの見た♪起きて、昼餉のお願いをしに行こうかな)
しばらく寝顔を堪能した後、布団から出ようと身じろぎをして……とろりと流れ落ちる感覚に動きを止めた。
(や、やだ……どうしよう)
私が寝た後に着替えさせてくれたみたいなのに、汚してしまう。
困り果てていると規則正しかった寝息が止んで、長い銀色のまつ毛が僅かに震えた。
(あ…起こしちゃったかな)
光秀「どうした…?」
気怠い声が甘く耳に響く。
片手で目を擦る様子を見れば、寝たふりではなかったみたいだ。
「んー…何でもないです」
(こうなったら汚れるのは仕方ない。自分の部屋で身体を清めて着替えしよう)
なるべく溢れ出てこないように心がけ、静かに身を起こした。
光秀「ふっ、何やら随分と動きが慎重だな?」
「……わかって言ってますよね。だからもういっぱいって言ったのに…ムム?!」
尖らせた唇を人差し指と親指でつままれた。
寝起きの気怠い雰囲気を漂わせたまま、光秀さんが薄く笑っている。
光秀「舞がその可愛い目で、『良い』と言ってくれたからな」
光秀さんは片腕を枕にして、こっちを見ている。乱れた寝間着の合わせから鍛えられた肉体がのぞいている。
この人に昨夜抱かれたのかと急に照れくささを感じた。
「き、気のせいじゃないですか?」
光秀「知らぬふりをしても無駄だ。確かにお前の目は『俺が欲しい』と訴えていたぞ?」
「なんの証拠もないですっ!んん!」
白い影が動いたかと思ったら唇を奪われていた。