第17章 あなたの愛に完敗(光秀さん)(R18)
(私に隠す必要ないのにな。寂しいなら言ってくれれば良いのに…)
見抜く力がついたと思ったけど、まだ全然足りないみたいだ。
光秀「一日でも早く舞に会いたいと仕事を片付けてきたというのに、お前ときたら部屋にこもってしまう始末。
最愛の者に袖にされて寂しくないわけがないだろう」
細められた瞳に切なさが滲んでいた。
包み隠そうともしない本心が嬉しくて頬が熱を持つ。
「一人にしてすみませんでした。寂しいなら遠慮せず言ってくださいね?
光秀さんに『寂しい』なんて言われたら、すっ飛んできますから!」
光秀「寂しかった。まだ寂しさの余韻が残っている。
責任をとって埋め合わせをしてくれ」
(え!?急に正直すぎない?)
からかわれているのかと思って表情を伺うと、本気ともつかない顔をしている。
光秀さんが屈みこみながら私の顎をすくい上げた。冴え冴えとした香が鼻孔をかすめる。
「ん…」
閉じた瞼に光秀さんの前髪がサラッとあたった。
いつも意地悪ばかり言う口が私を求め、何度も触れてくる。
触れたいという欲が軽い触れ合いだけでは足りなくなって唇を割り開いてくる。
「はぁ……ま、…て……んぅ」
少し歩けば布団が敷いてあるのに、今すぐに欲しいと攻められる。
顎を捕らえられ、いつの間にか後頭部にも手が回っていて逃れられなくなっていた。
(布団で思う存分触れて欲しいのに……)
舌は執拗に絡まり、漏れる吐息と一緒にクチュ、クチュと淫靡な音が響いた。
「ん………はぁ……」
会えない間ずっと焦がれていた温もりに思考がとろけだした。
(光秀さん………)
求められるままに舌を出し、絡め、唇を重ねていると、光秀さんに触れられている部分が次第に熱を持ち始めた。
後頭部と顎にあたっていた手指は最初ヒンヤリしていたのに、今は熱でもあるかのように熱い。
光秀さんが私に触れ、身体を熱くさせている。
その事実に私自身の身体がカッと熱くなった。
光秀さんは唇を離さないまま強引に身体をずらした。
二人分の足が畳を擦り、布団までの数歩が途方もなく遠く感じた。