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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第1章 日ノ本一の…(上杉謙信)(R-18)


(終わった……)


謙信「歩けるか?」

「はい。助けて頂きましてありがとうございました。
 これ…あの人達の身元がわかるかと思って奪ったのですが、捕縛できたなら必要ないですね」


懐から手裏剣と苦無を取り出して謙信様に見せた。


謙信「いや、受け取っておこう」


謙信様の手に預けると肩の荷がおりた気がした。


「襲撃が終わっていないのに、どうしてここに来たのですが?」


歩き出した謙信様の後ろをフラフラとついていく。


謙信「……もう一戦しようとしただけだ。刀を抜くまでもなかったが…」


心底つまらなさそうにしている。


「ひと蹴りでしたものね」


笑いがこみあげてきて口元をおさえたけど、クスクスと漏れてしまった。

いつも優雅な謙信様が、まさか人を吹っ飛ばす程強く蹴るなんて…凄く貴重な瞬間を見られた。


(それに…)


『俺の持ち物に何をしている?』


思い出して胸が苦しくなった。


(物扱いでも光栄だ)


幸せだな…そう思ったら足から力が抜けた。

視界が狭(せば)まり、前を歩く謙信様が離れていく。
ぼんやりとした意識の中、矢傷の痛みだけがズキズキと痛んだ。


(ああ…意識を失ったらいけない…。それとも私、このまま…死んじゃうのかな…)


あれ程気をつけていたのに、私の意識はあっさりと暗闇に落ちた。


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