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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第16章 輝く世界(慶次)


慶次「そんなに俺に会いたいのか?」

「私は似生に会いたいの!」

慶次「そうか?似生は口実で俺に会いたいんじゃないのか?」

「慶次こそっ、似生のことは口実で、私に遊びに来て欲しいだけなんじゃないの?
 ほんと慶次ってひねくれた言い方するよね」

慶次「そんわけないだろう。ん?」


慶次が呆れたように言いかけて、ふと黙った。
賑やかな慶次が黙ると、何かあったのではないかと不安になった。見えないからこそ感じる不安に小首を傾げた。


「慶次…?」

慶次「里美、髪の毛に羽虫がついてる」

「え?!嘘ッ、早く取って!わっ!?」


たたらを踏んだ足が敷居に引っかかり、つんのめった私は慶次の方に勢いよく倒れ込んだ。


慶次「おっと」


受け止めてくれた手が微妙なところに触れた。


「む、胸っ、触った!!!」


(い、今、ムニュッっていった!ムニュッって!!!)


慶次「はっ!?んなこと気にしてる場合じゃなかっただろ」


胸を触られた衝撃で、閉じっぱなしだった目が意思とは関係なく開いた。


「あっ!」


目に飛び込んできた赤にヒュッと息が止まった。
狂い叫ぶかと恐怖していた瞬間は、胸に触られた驚愕でそれどころではなかった。


(あれ…平気…?)


赤い色の恐怖よりも…胸に触られた方が大事件だと思っている自分が居る。
視界にはお洒落な柄が入った赤い着物が映っていて、血の赤じゃないと冷静に判断できた。


「綺麗な着物…が…み、える……?」

慶次「は?舞、お前、目が開いてる…?」


目が開いている私に気が付いて慶次も驚いている。

紫色の帯に太めの帯紐が結ばれている。身体に巻いているさらしまで全部見えた。
すりガラスのようにぼやけていた視界が鮮明に物を映している。


(なんで?お医者様は治らないって言っていたのに)


神経毒だから視神経をやられ、回復は見込めず悪くなるだけだと言われていた。
光を感じられていても、ゆくゆくは見えなくなるだろうって……。


慶次「舞?」

「っ」


慶次の顔を見たいと思ったことは何度もあったのに、いざとなると勇気が持てなくて目を閉じた。


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