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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第16章 輝く世界(慶次)


「……ふ、ぅ。わけわかんない。何よ…慶次なんか……」

慶次「あーあ、ついに泣かせちまったか。こりゃあ、明日からお姫さんに門前払いくらうかもな」


おどけた口調はいつもの慶次だ。

別人みたいだった慶次と、どちらが本当なのかわからないけど、この際どっちでも良い。
根本的なところは良い人だって感じるから。


「ぐす、そんなことしないよ。さっき振り回してやるって言ったじゃない」


しゃくりあげながら訴えると、頭を撫でてくれていた手が止まった。


慶次「はっ、上等だ。そう来なくちゃな、舞」

「!」


(名前……初めて呼んでくれた)


慶次が私を認めてくれたような気がして、胸の中にぱっと花が咲いたようだった。


(嬉しい…)


「ありがとう、慶次。ありがとう…」


こぼす涙は悲しい涙ではなく、嬉しい涙だ。
びっくりするようなやり方で私に前を向かせてくれた。


慶次「早く泣き止めよ。俺の着物がびしょ濡れだ」

「えっ!?ご、ごめん」


そんなに大泣きしたつもりはなくて、変だなと思いながら顔を離した。


慶次「ふっ…、自分が流した涙の量もわかんないのか?
 嘘だ、思う存分泣いていいぞ」


後頭部に手が回り硬い胸に押し付けられた。
鼻がゴンとぶつかって痛みで涙も引っ込んだ。


「いたた…。今ので涙引っ込んじゃったよ。ふふっ、慶次って結構意地悪なんだね?」

慶次「あー、光秀ほどじゃないけどな?」


けろっと返す声には笑いが混じっていて、私もつられて微笑んだ。


(慶次を近く感じる…。慶次って…どんな顔をしているんだろう)


見てみたいなと思った。


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