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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第16章 輝く世界(慶次)


慶次「鳴くのは駄目だろう、似生。ったく、しょうがないやつ」

「飼ってるの?」

慶次「まあな。餌をあげてみるか?ちょうどこいつの昼餉時だ」

「あげたい。初対面の私があげても食べてくれるかな」

慶次「んなこと心配しなくても良い。こいつは食い意地張ってるからな」


手を取られ、何か固いものを渡された。


(?)


野菜スティックの形状で、匂いを嗅ぐと人参の香りがした。


「ふふ、じ、せい?だっけ…。人参だよ」


気配がする方に差し出すと、慶次が吹き出した。


慶次「あいにく今は腹が減ってない。似生はお前の後ろに居る」

「え!?ごめん、慶次と似生、間違えちゃった」


言われてみれば背後にプスプスと小さな鼻息が聞こえた。


慶次「気配を探れよ。人間と動物なら明らかに気配が違う。
 それに慣れたら人間を区別できるようになろうな」

「うん……」


慶次は目が見えない私を導いてくれている。
誰も信用できないからと壁を作っているのに、そんなの無いかのように隣に居て、見守ってくれる。


(私に良くしたところで何も得るものはないのに、どうしてなんだろう)


素直じゃない私がドロリと顔を出して、『ありがとう』という言葉を内に閉じ込めた。


「……」


似生が人参に食いついた。
そこから伝わってくる振動から、凄い勢いで食べてくれているのが伝わってくる。


「可愛い」


動物は嘘偽りのない存在だと自分で判断できる唯一の相手だ。

そう捉えることしかできない自分は寂しい人間で、どうしようもなかった…。


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