• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第16章 輝く世界(慶次)


――――

兵「一、二、三、四!!」

慶次「まぁだ始まったばっかだぜ?もう少し力抜けよ」


鍛錬場に着くと、慶次様は木陰に座らせてくれた。
この間まで山滴る緑の香りがしていたと思ったのに、部屋に閉じこもっているうちに秋が訪れていた。


(蝉もいない。そうだよね、もう10月だもん…)


ほんの少し好奇心が湧いて、手で敷物を辿っていくと草があたった。
短い草はチクチクと手にあたり、くすぐったい。


(草にさわるの久しぶり…。ん?)


豆のようなものに触れて、そろりと摘まみ上げた。
なんだろうと触れていると一部がとれてしまった。


「あ、もしかしてドングリ?」


正体がわかり、安心して地面を撫でると沢山落ちているみたいだ。


(秋だなぁ)


見えなくてもちゃんと秋を感じられた。
深呼吸して秋の空気を吸いこんでいると、頭の上になにかが落ちてきた。


ボト


「!?」


出掛ける直前に市女笠(いちめがさ)のようなものを被せられたので、直接ではかったけど何かが落ちてきたのは間違いない。


(何が落ちてきたのな。もしかして毛虫とか…?)


毛虫だったらと思うと、迂闊に触れて確かめられなかった。

振り落とそうと顔を俯き加減にして横に振ってみたけど、何かが落ちた気配はしなかった。


(どうしよう。ドングリだったらすぐ落ちるはずだし…)


傘を固定している顎紐の結び目に手をかけ、待てよと考え直す。


「傘を取っている間にまた落ちてくるかもしれないよね」


頭に直に毛虫が落ちてきたら…。想像して身震いした。
途方に暮れていると、びっくりするくらい近くで声がした。


慶次「どうした、お姫さん?」

「慶次様!なんかボトって…、落ちてきたんです」


かぶっている傘を見てもらおうと俯くと、慶次様が唸った。


慶次「あー……こりゃあいけねえな…」

「え!?何?何が落ちてきたの?まさか毛虫?」

慶次「鳥のフンだ」


身体から力が抜けた。


「なんだぁ…、良かった。毛虫じゃなくて」

慶次「お姫さんは毛虫が嫌いなのか?」

「はい、凄く…」


黒くて足が速いアイツの次に苦手だ。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp