第16章 輝く世界(慶次)
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信長様達が物々しい雰囲気を漂わせて出かけて行ってから数日。
慶次「よお、お姫さん。今日は良い天気だ。
兵達と槍の訓練を外でやるから見にこいよ」
「見えませんので行きません」
慶次「そんなこと言ってっから、なまっ白(ちろ)い肌してんだぜ?
どうせ部屋にいても畳の目を数えるくらいしかできねぇだろ?
見えないんだった草っぱらで寝ころんでいれば良い」
「畳の目をって…失礼な方ですね。わっ!?」
しゃがみ込んだ気配は察したけれど、まさか突然抱き上げられるとは思わなかった。
とっさに手を置いた肩が逞しくて驚いた。
有無を言わさず廊下を運ばれて玄関に到着してしまった。
女中「まあ!舞様がお出かけになるのですか?
すぐに履き物を用意致しますね」
『姫様がお出かけになるわ。傘と敷物の用意を!』
『お飲み物と、ひざ掛けもよ!』
女中さん達が慌ただしく動き出した。声は明るく弾み、喜びを含んでいる。
(私が部屋から出てきただけで皆嬉しそう…)
チクリと胸が痛んだ。