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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第16章 輝く世界(慶次)


「?」


(そうだった。信長様の他に、もう一人居たんだっけ)


すっかり忘れてツンケンした態度を取ってしまった。
まぁ、誰が居たところで態度を変えることはないけど。


?「お館様に向かってそんな口をきく女、初めてだぜ」


威勢のある。とでも言えば良いのか…張りのある声がした。


「申し訳ありませんがどちらさまでしょうか。
 記憶にある限り初めて聞く声ですが…」

?「俺は前田慶次。安土を留守にしていたからな、今日が初対面だ」

「はじめまして、舞と申します」


(前田慶次って確か傾奇者で有名な人だよね)


戦国時代を知ろうとトラベルガイドを熟読した際、そう書いてあった気がした。


慶次「堺に居た頃は『安土の姫はえらい別嬪で心優しい女だ』って専らの噂だったぜ?」

「ご期待に沿えず申し訳ありません」


噂の独り歩きに辟易した。
現代ではSNSで間違った情報が流れることも多かったけど、戦国時代の口伝ての噂はそれ以上に間違って伝わる。元ネタの原型がなくなるほどに。


慶次「いいや?あんたみたいな女の方が面白い」


(面白い?どこが?)


視力を奪われたのがきっかけで思考も何もひねくれて、味もそっけもない態度を取っている私のどこが面白いんだろう。


(おかしな人)


どう思われようが勝手だけど。


「それで信長様はなぜ慶次様をお連れになったのですか?」

信長「家康の領地で小競り合いが起きている。
 秀吉と慶次を城に残し、あとの者は出かけてくる」


(つまりは私を見守る要員が減るから慶次様にも頼んだってことね)


「私のことは心配なさらないでください。ご武運をお祈り申し上げます」


深々と頭を下げて信長様達を送り出した。


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