第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
謙信「その石には『関係を進展させる』『相手の気持ちを理解する』という意味があるらしい」
謙信様の真意がわからず、つれない人だと思っていた私。
『気長に舞との関係を築くとしよう』と言ってくれた謙信様。
「私も謙信様ともっと仲良くなりたいですし、鈍いところがあるので謙信様の気持ちを理解できるようになりたいです。
私が誤解していたら遠慮せず言ってくださいね。本当に鈍いので」
謙信「確かに鈍いだろうな」
「む……」
謙信「だが鈍いお前にどうわからせてやろうか考えるのも楽しそうだ。
俺も舞のことを知りたい」
「そう言ってくださるのは嬉しいですけど普通ですよ、本当に」
謙信「俺にはそう見えないがな?」
「買いかぶりですよ」
ご飯とお布団、時々甘い物があれ仕事は頑張れるし、暑ければお化粧を手抜きして、部屋で襦袢を捲り上げているような姫度ゼロの女だ。
きっとそんな実態を謙信様は知らないだろう。
知られたら最後、現代に逃げ帰るしかない。
「ご要望にそえず薄っぺらくてガサツな人間だったとしても、嫌いにならないでくださいね?」
知りたいと言ってくれるのは嬉しいけど、知られたくないこともいっぱいある。
できれば『愛らしい』と言ってくれたイメージを、そのまま持っていて欲しい。
謙信「嫌いにならないから安心しろ」
「謙信様は私の実態をご存じないからそう言えるんです」
謙信「もう少し自信を持った方が良いぞ?中身もだが舞の魅力は『小さじ1杯』ではない」
「な、なんでそれを…」
謙信「会話の流れとお前の反応で簡単に導き出せた。
今回の旅では、小さじでは計れないほど愛らしい姿をさらしていた。気が付いておらぬだろうがな」
「愛らしいなんて謙信様しか言ってくれないので全然自信ないです」
謙信様の目がキラリと光り、腰をひき寄せられた。