第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
謙信「こちらは写真と、砂…か?」
「はい。私達が潜った時、水中からスタッフの方が写真を撮ってくれたのでコッソリ買っておいたんです。
写真自体がこの時代にないものですし、サンゴ礁と小さいですけど熱帯魚も写っているので猶更記念になるかなと思って…。
あまり人に見られないように保管してくださいね。佐助君ならOKですけど」
三人でシュノーケリングしてきたって知ったら佐助君はどんな顔をするだろう。
今度会ったら沢山話したい。
謙信「砂粒の形状まで見ていなかったが、あの海の砂は特殊な形をしていたのだな…」
「星みたいな形をしているので星砂とも言われています」
砂が入った瓶やコルク栓に興味深げに触れ、謙信様は受け取ってくれた。
受け取ったものを大切そうに仕舞いこんだその場所から、見覚えのある包みが出てきた。
謙信「これは俺からだ」
「え…」
綺麗にラッピングされた包みは天然石のお店のものだ。
(恋人か片思いの人にあげるのかと思っていたのに)
そこまで考えて、謙信様が『傍に女は置かない』と言っていたのを思い出した。
「私に選んでくれたんですか?」
信じられない気持ちで見ると謙信様は頷いた。
謙信様は丁寧な手つきでバングルを取り出し、私の右手を持ち上げて付けてくれた。
巻き付ける時に触れ合う手、爪の形が綺麗なことや、白い肌に浮かんだ血管まで見えてしまって、見てはいけないものを見ている気がして視線を泳がせた。
「ありがとうございます…」
ゴールドバーも茶色の革紐も肌馴染みの良い色で毎日つけられそうだ。
涼しげば色の天然石が、昨日まで見ていた海の色を思い出させてくれる。