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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第1章 日ノ本一の…(上杉謙信)(R-18)


薪をくべてため息を吐いた。


謙信「尚文、居るか?」

「はい」

謙信「何か話をしろ」


(え!?なんの話をしろと?)


くだらない話をして機嫌を損ねてしまったら大変だ。


(えーと、えーと………そうだ!)


「梅の怪我はすっかり良くなりました。他のうさぎ達と一緒に庭で遊んでおります」


謙信様がくすりと笑った気配がした。


謙信「見分けがつくようになったか?初日は梅を見失い、大変だったそうだな」

「兼続様から聞いたのですか?初日は苦労しましたが、今は見分けがつくようになりました。庭のうさぎ達は謙信様が居ないと、心なしか寂しそうにしておりました」

謙信「そのようだな。湯浴みが終わったら会いに行くつもりだ」

「はい、きっと喜ぶと思います」


噂話でしか謙信様を知らなかった頃は、戦好きの恐ろしい方だとばかり思っていた。
庭のうさぎを大事にして、こんな見習いにまで心を割いてくださるお優しい方だとは……。

どうして女嫌いなのかわからないけれど、勿体ないなと思う。

火の勢いが増したので、炭と炭の間隔をあけていく。
ガサリ、ガサリと炭を動かす音が響いた。


「…そういえば謙信様が留守の間に、庭の木に登り、からすの巣をいくつか撤去致しました。巣はからっぽでしたが、放っておけばまた産卵に訪れると思いますから」

謙信「…お前が木に登ったのか?」

「はい。佐助殿に作って頂いた、えー…『すぺしゃるめにゅー』とやらで鍛錬していたところ、身が軽くなりました。するすると登れたので自分でも驚きました。ただ…」

謙信「ただ…なんだ?」

「登ってみて気が付いたのですが高い所は苦手のようです。これも慣れるものでしょうか。
 謙信様は高い所は平気ですか?」


ひと月近く見ていて、謙信様の弱点を見たことがない。
何か苦手なものは無いのか好奇心が湧いた。


謙信「高い所は平気だ。暇な時は佐助とともに城の屋根裏を見て歩く時もある」

「……謙信様が屋根裏部屋を……?」

謙信「そうだ。だから襖の方ばかり警戒していると後ろをとられるぞ?」


からかうような小さな笑いが聞こえてきた。


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