第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
敵同士の立場を置いて、一緒に行動してくれた光秀さんと謙信様。
あの3日間は武将じゃなく、普通に…一人の男の人だった。
大切な時間を忘れて欲しくない。
けど一緒に写真に写っていれば第三者に余計な疑いや不審を持たれるだろうと、わざとこの写真を選んだ。
光秀さんは歪みのないガラス瓶を転がして白い砂が動く様を見ている。
チクチクと尖っている星の砂に埋もれるように、ほんのりピンク色の珊瑚の欠片が混ざっている。
琥珀の眼差しはいつもより穏やかに見えた。
光秀「俺達3人だけにわかる土産か。
舞がこれを選んだ気持ちが伝わってくる。ありがたく受け取らせてもらおう」
「ふふ、どういたしまして。こちらこそ素敵なお土産をありがとうございました」
その後も旅の話は尽きず、スマホで撮った画像を一緒に見ながら過ごした。
3人で交代しながら写真を撮ったので結構な枚数になっていた。
「また行きたいですね」
光秀「二人ならばな」
「え?」
いつの間にか近くなっていた距離で見つめ合う。
涼やかに笑う視線にどんな意味合いが含まれているのか……
「またまた光秀さんったら…」
小さく跳ねた心臓を無視してスマホの画面に視線を落とした。
頭の腕で笑う気配がして、ひそめられた呟きに今度こそ心臓が大きく跳ねた。
光秀「…わ…いも…だな」
「っ」
聞こえなかったふりをして画面をスワイプさせた。
さっきも言われたけど、冗談だと思った。
でも今のは冗談だとか、そんなんじゃなくて本心に聞こえた。
光秀さんが、私のことを
『可愛いものだな』
って……