第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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『明智光秀と舞姫が駆け落ちをした』
安土城に帰ると根も葉もない噂で大騒ぎになっていて、私達はこっぴどく怒られた。
秀吉「まったく!!本当に心配したんだからなっ」
同じセリフを10回くらい言われて、最初は反省していた私はもついに口ごたえしてしまった。
「わかってるけど仕方ないじゃない。
電話もメールもできないんだから」
秀吉「はっ?でんわ?めーる?」
秀吉さんは面食らった顔をして、隣で一緒に怒られていた光秀さんがプッと吹き出した。
光秀「ああ、良いものだな。俺とお前しか知らないことがあるというのは…」
「ふふ、そうですか?」
二人で笑い合っていると、上座で話を聞いていた信長様が口元を緩めた。
信長「3日姿を消していた間に随分と仲良くなったものだな?」
「ふふっ、はい。前より仲良くなりました」
秀吉「っ、意地悪されなかったか?」
「うん!ずっと守ってくれたよ。すごく格好良かったんだから」
光秀「……言い過ぎだ、馬鹿娘」
さっきまで機嫌良さそうだったのに、急に素っ気ない。
「急に塩だ…」
秀吉「ん?塩がどうした?」
「いいえ、なんでもありません。
信長様、秀吉さん。私、光秀さんから作法など、色々教わることになったんですけど、しょうもないくらい駄目だった時は囲ってやるって言われたんです。
どんな意味ですか?」
信長「ほう…?」
秀吉「なんだとっ!?光秀、てめぇ、なんてこと言ったんだっ!」
青筋立てて怒り始めた秀吉さんの剣幕に、私の方が尻込みする。
光秀「舞から了承は得ている。秀吉には関係ないだろう?」
秀吉「『囲う』の意味がわかってない舞の返事なんか無効だ!!」
「あのぅ…囲うの意味は…?」
秀吉さんはヒートアップしていて肝心の意味を教えてくれず、信長様は楽しそうに見物しているだけだった。