第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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三日目の早朝。
日の出を迎えた海が本来の蒼を取り戻そうと輝き始めた頃。
降り立った砂浜で待っていると、手紙に書かれていた通りワームホールが開いた。
ワームホールに飛び込む前は草履の下には白い砂があって、目の前には朝焼けを映した海が見えていた。
「っと…」
浮遊感がなくなって目を開ければ、人気のない農道に立っていて、海の匂いではなく緑の匂いが溢れていた。
電線も道路もなく、高い建物もない。
現代ではないとわかり、自分で望んで帰ってきたのに少しだけ喪失感に襲われた。
「元居た時代に戻ってきたか確認してから解散しましょう。
謙信様も一緒に行きましょう?」
戦国時代なのか、戦国時代なら私達がタイムスリップしてからどのくらい時間が経っているのか確かめた方がいい。
三人で歩いていると着物で農作業をしている人が居て、年号や月日を確認した。
現代でもそうだったけど、『今、何年何月何日ですか?』と聞くと、変人を見る目で見られる。
不審者扱いの視線に耐え、なんとか欲しい情報を得た。
「無事に帰ってきたみたいです。私達がタイムスリップした日から3日後で、ここは安土城までは徒歩30分くらいの場所だそうです」
現代の時間の単位を使えるって些細なことだけどすごく便利だ。
光秀「行こう。俺と舞が突然姿を消して騒ぎになっているだろう」
「わかりました。謙信様はこのまま越後へ向かわれますか?」
そう声をかけておきながら、ここでお別れするのが寂しくて仕方がなかった。
密な時間を過ごしたせいか、3人が2人になるのがすごく寂しい。