第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
服を作る夢は戦国の世でもできるとわかった。
むしろ現代では作れないものを生み出すことができる。
和装の知識も技術も未熟だけれど、積極的に取り入れ、いつか自分にしか作れない何かを作りたい。
この手が特別なものを生み出せなかったとしても最初から諦めたくない。
何もせずに諦めて、便利で暮らしやすいという理由だけでこの時代に留まったら後悔するだろう。
だから私は戦国時代に帰る。
「帰ります。私には諦めたくないことがあるので」
すでに固まっていた意志を伝えるために、しっかりと頷いた。
光秀「わかった。ならば、この時代で舞が俺を守ってくれたように戦国時代に帰ったなら俺が守ってやる。
あの時代で生きる方法を教えてやろう」
守ってくれたと言うけど、守られていたのは私のような気がする。
お礼をしたいのはこちらの方だ。
「刀とか…人を傷つけるのは嫌ですよ?」
光秀「そんなことを言っていたら死ぬぞ。
最低限、短刀を扱えるようになってもらう。乗馬と、そうだな……姫として生きられるように作法も教えてやるか」
「光秀さんが先生だと容赦なさそう…」
ニヤニヤしながら、教え方は超スパルタな気がする。
光秀「どうだろうな?帰ってからのお楽しみだ」
「怖い…」
光秀「お館様よりは優しいと思うぞ?」
「た、確かにそうですね。のみこみの悪い弟子になりそうですが頑張りますのでよろしくお願いします」
貴重な時間を割いて教えてくれるんだからと頭を下げた。
光秀「最初から張り切ると後で力尽きるぞ。
そう肩に力をいれずとも、舞に絶望的な才能しかなかった時は囲(かこ)ってやるから心配するな」
「囲う………ですか?」
囲うと言われると、鳥籠の鳥みたいにとじ込められるイメージが先行する。
光秀「男が女を囲う……意味がわからないか?」
「うーん、光秀さんに閉じ込められるってことですか?」
光秀「閉じ込めるだけでは終わらないがな。俺の指導についてこられなかった時はどうなるか覚悟しておけ」
閉じ込めるだけで終わらないならどうなるんだろう。