第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
光秀「それは遠慮願いたい」
謙信「この世の終わりだ…」
「ふふん、参りましたか?喧嘩は駄目って言ったじゃないですか」
謙信「舞に丸めこまれるとはな」
光秀「降参だ。謙信と仲直りしよう」
「良かった。敵でしょうけど、こっちに居る間だけでも仲良くしてくださいね」
謙信様が仕方ないと小さく息を吐いて、パフェに乗っていたイチゴを摘まんで私の口元に持ってきた。
「?」
謙信「舞は明智から手ずから物を食べさせられただろう。
これを食べてもらわなくては『ふぇあ』ではないのではないか?」
「う…」
カットされたイチゴは小さめで、気をつけて食べたとしても謙信様の指に唇が触れてしまうだろう。
迷っているうちにイチゴが唇にあたり、生クリームに混じった甘酸っぱい香りが鼻孔をくすぐった。
謙信「遠慮せず、俺の指ごと食せ」
「いえ、そんなことっ、むぐ」
開いた唇をこじ開け、イチゴがコロンと口に入ってきた。
唇と前歯に謙信様の指があたってしまった。
謝ろうとした矢先に、その指先は謙信様の口元に行ってしまい…
ぺろ
「!?」
(か、間接キスっ!)
「や、何してるんですか、私のお馬鹿がうつったらどうするんですか!?」
謙信「うつるわけないだろう?」
何を馬鹿なことをと鼻先で笑われた。
光秀「軍神が馬鹿になれば、それにこしたことはないな。越後を陥落するのが容易くなる」
謙信「うつらん。生半可に越後に手を出してきたなら、骨身が粉々になるまで成敗してくれよう」
「わわ、また物騒な話になってる……」
戦国武将が言い争っているとは誰も知らず、二人の諍いは店内の賑やかな空気に溶けていった。