第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
「お菓子と食事は別のところに入るんですっ!」
謙信「そんなわけがないだろう。お前の胃は二つあるのか?」
「一個しかありません!」
光秀さんは小さく笑ってお酒を飲んでいる。
これと同じやりとりを信長様と繰り広げた時のことを思い出しているんだろう。
店員「お待たせしました~」
テーブルにドーンとパフェが置かれ、驚いた。
「結構大きいですね。やっぱり手伝ってもらっても良いですか」
謙信「手伝う…?」
長い柄のスプーンでバニラアイスと生クリームをすくう。
「食べるのを手伝ってくださいってことです。はい、もう一度アーンです♪」
謙信様の目がスプーンをとらえて寄り目になった。
謙信「っ、舞、お前、酔っているだろうっ!?」
「今更気が付いたんですか?もうずっと前から酔っ払いですよ」
謙信「気付かなかった…」
「気にしない気にしない♪謙信様が食べてくれないなら光秀さんにあげるもん。
光秀さんなら食べてくれますよね、あーん♪」
スプーンの向きを横から真正面に変えた。
光秀「『あげるもん』とは、酔っているな。頂くとしよう」
スプーンを持った右手首を、横から掴まれた。
謙信「待て、俺は食べないとは言っていない。俺が先だ」
光秀「おや、機を逃せば取返しなどきかないのが世の常だろう」
謙信「二枚舌がよくしゃべる…」
この旅最大のバチバチだ。
スプーンの上で、アイスが溶け始めている。
「じゃあ最初に声をかけたのは謙信様なので、先に謙信様が食べてください。
あ、でもスプーンが一個しかないから、次に光秀さんにあげたら、謙信様と光秀さんが間接的に口づけしちゃうことになっちゃいますね」
途端に二人共しかめっ面になった。