第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
謙信「邪魔をしないでもらおう」
光秀「なんのことだ?」
光秀さんは笑っているけど目が笑っていない。
冷えた空気が漂い始め、急いでお肉を飲みこんだ。
きっと光秀さんは私が答えに困っているから助けてくれただけだ。
鈍い私でもそのくらいわかる。
「喧嘩しないでください。えーと……、謙信様、これ食べますか?」
小さいカリカリ梅を箸でつまんで口の前に持って行く。
謙信様の好物が梅干しだったなんて今回の旅で初めて知った。
謙信「む……」
謙信様が戸惑いながらパクっと食べてくれた。
静かになった謙信様に笑いかけた。
「ふふ、機嫌直してくださいね。
謙信様のことはまだよく知らないところが多くて、もっと仲良くなりたいなって思っていました。最低でも佐助君と幸村と同じくらいに仲良くなりたいです」
謙信「最低がそれならそれ以上ならばどうなるのだ?」
「んー…、佐助君達みたいにズッ友関係になるとか?
でも謙信様相手に畏れ多いですね」
(友達じゃだめかぁ)
謙信「生憎俺は舞と友になる気はない」
キッパリ断言されて頬が膨らんだ。
「つれない……」
謙信「違う。親しくなりたい気持ちは俺にもある。だが俺の『親しく』は舞とは違う。
気長に舞との関係を築くとしよう。楽しみにしている」
(親しくなりたいっていう気持ちに違いなんかないと思うけどなぁ)
首を傾げながらグラスを傾けた際に、こっちを見ている光秀さんと目が合った。
(ん?な、なんだろう)
光秀さんは自分が超絶男前だって自覚しているのだろうか。
ただでさえ格好良いのに、酔っぱらっているから5割増しに素敵に見える。