第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
二人は放っておくとつまみも無しにお酒ばかり飲んでいるので、勝手に料理を注文した。
謙信「…頼み過ぎではないか?」
テーブルいっぱいに並んだ料理に謙信様が驚いている。
「えへへ、だって男の人が二人ですし、ここは日本ですが料理は独特なんです。
色々食べてみたくて…」
光秀「謙信、舞は見かけによらず大食いだぞ?
そのうち別腹だと言って甘味に手を出し始める」
謙信「何…?」
「……否定はしません」
謙信様の疑うような眼差しにヘラっと笑みを返した。
「私のことは良いので謙信様達も食べてくださいね。
この青い身のお刺身や苦瓜の天ぷらは、あっちじゃ食べられないでしょう?」
ふと見ると、光秀さんが青パパイヤのサラダに何もかけずに食べている。
「あ、光秀さん!ドレッシングをかけないと味しなくないですか?」
テーブルの端に置いてあったドレッシングをとって光秀さんに差し出した…が、横から手が伸びてきてヒョイと奪われた。
眉間に皺をよせた謙信様がドレッシングをかけてあげている。
(ちょっと仲良しになったのかな?)
「ふふ」
嬉しいなとお酒を飲んでいると、ドレッシングの容器を置いた謙信様が、ふぅと息を吐いた。
謙信「放っておけば『ドレッシングをかけてあげる』と言って、やらかしかねないからな」
仲良くなったのではなく、私を心配してのことだったみたいだ。
見当違いなことを考えてしまって恥ずかしい。
「こぼしちゃうってことですか…?
ふふ、お昼はお見苦しいところをお見せしてすみませんでした。
でも謙信様もあんなに慌てることがあるんですね。いつもクールなので意外でした」
謙信「くーる?」
「冷静、落ち着いているっていう意味です…。
あの時は顔も赤くなっていましたし、いつもと違う謙信様が見られて良かったなって思います」
謙信「戯言を…。あの時は少し取り乱しただけだ」
顔を赤くしている謙信様なんて超レアだったと思う。
佐助君へのお土産話にしたい。