第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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最後の夜ということで、買い物帰りに飲み屋さんに立ち寄った。
この地域は日本酒ではなく、焼酎が主流だ。
変わった匂いがすると鼻を近づけていた二人は、そのうち銘柄を変えながらストレート、ロック、水割りと飲んでいる。
店員「はい、パーシャルショットお待ちの方ぁ?」
「はーい♪」
グラスがキンキンに冷たい。
テーブルに置く時間も惜しくて、受け取ってそのまま口に運んだ。
「はー!美味しいっ!」
光秀「それはなんだ?」
「これは光秀さん達が飲んでいるお酒を凍らせたものです。
強いお酒は凍らせても固まらず、トロトロになるんです。
クセのあるお酒はこうすると飲みやすくなるんですよ♪」
冷たいお酒が食道を通っていく感覚が気持ち良い。
謙信「ほぉ、凍らせた酒か。暑い夏に贅沢なものだ」
「ふふ、あちらでは冷たい物があまり飲めないので、飲みおさめです」
(次はソーダ割りで、その次は果汁入りを頼もうかな)
こうなったら今夜のうちに現代ならではのお酒を満喫しようとメニューを漁っていると、光秀さんに釘を刺された。
光秀「腹を壊さないようにしろ」
「はい♪」
謙信「意外といける口なんだな?」
「お酒は大好きですが、あまり強くないんです。
いつもあれもこれも飲みたいなって思うだけで、すぐ酔いつぶれちゃいます」
切れ長の目が優しく細められた。
謙信「そうか…。酔いつぶれたら介抱してやる。
安心して、今しか飲めない酒を存分に飲め」
「はい」
(謙信様が凄く優しい……)
優しい眼差しに胸がふんわり温かくなった。
(でも光秀さんが言う通り、お腹を壊さないようにしなきゃね)