第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
胸やお腹が謙信様の筋肉質な身体にあたりドキリとする。
ウェットスーツを着ていても鍛え上げられた身体だとハッキリわかる。
(謙信様の身体は硬いな。私の身体、脂肪しかないって思われていそう)
謙信「どうした?」
謙信様がシュノーケルを一旦はずし、話しかけてきた。
「なんでもありません」
謙信「俺に嘘を言うな。なんでもない顔ではなかったぞ」
腰に巻き付いた腕に力がこもり、より身体が触れ合った。
(ひえっ)
「謙信様に比べるとプヨプヨだなと……」
謙信「ぷよぷよ?」
ゴーグル越しに目が合った。
説明を補足するべきなんだろけど、改めて言う内容でもないような気がして口ごもった。
そうしているうちに謙信様はピンときたみたいで目を細めた。
謙信「なるほどな…。気にしなくとも、ありのままで良いと思うぞ」
綺麗な笑みをこぼし、謙信様がシュノーケルを口に咥えた。
「お世辞でも嬉しいです」
謙信様は目を見開いて首を振っていた。
光秀「待たせたな」
やっと三人揃ったので早速水面に顔をつけてみた。
(わぁ…………!!綺麗っ)
太陽の光が差し込む海の中は神秘的な世界だった。
立派なサンゴ礁に白い砂。
大小様々な魚達が数えきれないほど泳いでいる。
スキューバダイビングをしているチームが、ガイドさんに導かれて下へ、下へと潜っていくのが見えた。
小さくなっていく姿を見ていると、水面から海底まで数十メートルあるのがわかる。
それほど深く潜ってもはっきり視認できるのは、海の透明度が高いからだろう。
(ん……?あれは……)
遠くで何かがヒラリと動き、よく見ると野生のマンタが泳いでいた。
(見て、あそこ!)
二人の腕をそうっと触ってから指で指し示す。
昨日水族館で見たからわかるだろう。
(見えた?)
目で語りかけると二人が頷いた。
戦国時代では鋭い目つきをしている二人が、今はリラックスした表情をしている。
(楽しいなぁ。まさかこうして海に来られるなんて……)
その後も三人で泳ぎ続け、浅瀬のサンゴに集まる熱帯魚を見たり、ウミガメを発見したりと、楽しい海の時間はあっという間に終わってしまった。