第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
――――
――
集合場所から船で約一時間移動して、シュノーケリングポイントに到着した。
海の色は鮮やかなコバルトブルー。船の上から見ても、下に沢山の魚が泳いでいるのが見えた。
ワクワクした気持ちを抑え、シュノーケリングの説明を受ける。
(早く海に入りたいっ)
憧れの南の海がすぐそこで待っている。
シュノーケルなんて戦国時代にはないし、海に足を入れることさえ止められてしまうだろう。そう思うと逸る心が止まらない。
光秀「舞は泳げるのか?」
「速くは泳げませんが息継ぎもできますし、ほどほどというところです」
謙信「女の身で泳げるのか…」
光秀「普段のんびりしている舞が泳げるとは驚きだ」
そんなに驚かなくても良いのに謙信様と光秀さんは意外だと言わんばかりだ。
聞けば戦国時代の女性で泳げるのは、漁村に住んでいる海女さんくらいだそうだ。
「学校…子供達が集まって勉学する場所で水泳も教えてもらいました。
光秀さんと謙信様は泳げるんですか?」
二人とも勿論だというふうに頷いた。
シュノーケリングは泳げない人でも大丈夫なスポーツだけど、泳げるにこしたことはない。
海水浴の習慣がないのに、なんで二人が泳げるのか不思議だったけど…。
(乱世の武将は水泳がマストスキルなのかな)
シュノーケリングの説明が終わったのでウェットスーツ、ゴーグルとシュノーケル、フィンを身に着けて、最後にベストを着こんだ。
(よぉし、いくぞ!)
早速海に飛び込もうと、フィンをつけた足を船縁(ふなべり)にペタリと置いた。
光秀・謙信「「待て」」
両肩にそれぞれの手が乗せられた。
「?」
何か足りないものがあったかと自分の格好を確認した。
必要な物は全部身に着けている。
「なんですか?」
謙信「先に俺が行く。その次にお前、最後に明智だ」
「いつ順番が決まったんですか?早く入りたいですけど…」
光秀「たった今だ。危ないから舞は俺達の間に居ろ」
「…ふぁーい」
タクシーの時と同じで、二人の過保護に火が付いたようだ。
唇を尖らせて、仕方なく返事をした。
謙信様が迷いなく海に入り、続いて私。
謙信様は光秀さんが来るまでの間、水に合わせてチャプチャプと揺れる身体を掴まえてくれた。