第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
「!?」
(理性が飛びそうってこと!?謙信様が!?私に!?)
(うそうそ、ありえない、リップサービスだ)
「どのような顔をしているか知りませんが、最近肩が凝っていたので気持ち良かっただけです」
(うん、そういうことにしよう)
謙信「何?それを早く言え」
さっきまで滑るような手つきだった指先に、ぐっと力がこもった。
「あいたったたた!痛い、です、謙信様!」
謙信「これで痛いだと?やわな身体だな……」
二色の瞳がふっと細められた。
愛情のようなものが見え隠れして、目が離せなくなった。
光秀「今の悲鳴はなんだ?」
唐突にバルコニーから声が聞こえて、謙信様から急いで距離をとった。
「肩もみをしてもらっただけです」
光秀「向かい合ってか?」
「現代では肩もみは向かい合ってスルモノナンデス」
光秀「ほぉ…やりにくいと思うが、そういうものなのか。
しかし謙信に肩もみをさせる女は舞くらいしたものだ」
ほんの一瞬漂ったピンクの空気には気づかれなかったようだ。
「あははは……さ、出掛けましょう」
ドアを開けて二人を通し、最後に部屋を出た。
前を歩く謙信様が振り返って内緒話をするように身をかがめてきた。
謙信「肩を揉んでやるのも、俺の急所に触って良いのも……舞だけだ。
覚えておけ」
「!」
薄い唇に浮かぶ笑みと、艶のある眼差しに息が止まりそうになって返事ができなかった。