第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
一個しかない日焼け止めをテーブルに置いて、二人で交互に塗っていく。
謙信様はラッシュガードの前身頃(まえみごろ)を掴んで言った。
謙信「これを脱ぐつもりはないが、上半身にも塗っておくべきか?」
「脱がないなら必要ないと思いますよ。
あ……ふふ、謙信様、首に白く残っていますよ」
謙信「なに?」
謙信様はズレた所を触っている。
「ここです」
喉仏付近に付いていた日焼け止めを伸ばしてあげると、謙信様の身体がピクっと震えた。
謙信様は顎や首のラインがとても綺麗だ。
線が細いように見えていたけど喉仏が指先に硬く当たってドキっとした。
手の平に自分のものではない脈があたり、心なしか脈拍が速かった。
「塗り終わりましたよ」
謙信「舞も白く残っているぞ」
「え?」
両手が伸びてきて、繊細な動きで鎖骨を撫でられた。
(日焼け止めを塗り合ってるなんて、変なことになっちゃったな……んっ!?)
謙信様の指が紐の下にスルリと入り込んできた。
(う、わぁ!?どうしよう!)
謙信「動くな。まだ白く残っている」
やらしいマッサージを受けている気分になって叫びそうになった。
けど謙信様の顔は真面目だ。
謙信「随分と厚塗りしたものだな。指がよく滑る……」
「日焼けしやすい場所なので、念入りにと思って…ぁ…」
鎖骨周辺を撫でていた両手が、ヌルっとした感触を引き連れて首の後ろに回った。
謙信様の指がリボンの下を念入りに往復する。
日焼け止めが足りなくなったのか、追加分を足し、また手が伸びてきた。
ゾワゾワとした何かが身体を襲い、短い吐息を漏らしてしまった。
「はぁ……」
体温が上がったような気がするのは気のせいか……。
ヌルヌルとした感覚が気持ち良すぎて終わって欲しくない。
謙信「そのような顔をするな、箍(たが)が外れたらどうしてくれる?」
謙信様が悩ましげな顔をしている。