第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
私のベッドの傍らに寝起きの光秀さんと謙信様が立っていた。
ちょっと気だるげな表情で、寝間着代わりのルームウェアには皺が寄って無防備な雰囲気だ。
光秀さんが首に手をやった拍子に脇腹が覗き、謙信様は寝ぐせまでいかない程度のラフな髪型で笑みを浮かべている。
(うぅ…朝から格好良い。なんなのこのイケメンクオリティ……)
「あ、朝から…すてき、あ……いえ、なんでもないです。顔を洗ってきますね」
謙信「寝ぐせがついている…」
「え…」
外ハネしている髪を、謙信様が撫でつけてくれた。
長い指が遠ざかると髪はピヨンと元気に戻ってしまい、謙信様はそれを見てクスリと笑った。
昨夜の仕返しをされている気分だ。
謙信「寝ぐせまで愛らしい。顔を洗いに行くのだったな、行っておいで」
「愛ら……っ!?」
(幻聴だ、聞き間違いだ、気のせいだ)
謙信「なんだ?」
(つれない謙信様は、どこいったのっ!?)
ずっと塩対応されてきたから、突然の激甘対応に頭がついていかない。
もしかしてソックリさんなのかと疑う程に別人だ。
塩漬けの後に砂糖漬け。
最後はどうするつもりなんだろう。
「い、いえ、いってきます」
私は起き抜けの顔を見られないように、逃げるように寝室を出た。