第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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夜明けを迎え、海が翡翠色に輝きだした頃。
遮光カーテンをひかれた暗い室内に、呑気な音が響き渡った。
コココ……コケー!コケコッコー!コケコッコー!
謙信・光秀「「………!?」」
バサッ!
バサッ!
少し離れた所から布団をどける音がした。
「んー・・・」
スマホの目覚ましで目を開けて、一瞬、どこに居るのかわからなかった。
(そうだった現代に来てるんだった……け…)
柔らかな枕に顔を埋めていると、スヌーズでまた目覚ましが鳴った。
コココ……コケー!コケコッコー!
「ん……」
枕の下のスマホを探り当て、目覚ましを止めて、またスヤ…と眠りについた。
謙信「鶏の鳴声は舞のスマホか?」
光秀「そのようだな」
ガサガサと掛け布団をどける音が聞こえた。
カーテンを開ける音がして、途端に部屋が明るくなった。
光秀「おはよう、舞。起きる時間じゃないのか?」
「ん……もう少し……」
空調が効いた快適な室温に、久しぶりのベッドと羽毛布団。糊のきいたサラサラのシーツの誘惑は抗いがたい。
夏の間、ずっと寝苦しい夜を過ごしていたので、猶更布団から出られない。
謙信「舞……。お前は寝顔も愛らしいな…」
光秀「勝手に見ないでもらおうか」
謙信「何故お前に命じられなくてはならない?」
(なんか……朝から喧嘩してる……っ!?)
そうだ光秀さんと謙信様も一緒だったんだ!とガバリと身を起こした。
「お、おはようございます。起きるのが遅くなってすみません!」
(ヨダレとか枕の跡、ついてないよね。
どうしようテカってるし、目やにとかついてたらどうしよう…!)
挨拶で頭を下げたついでに、片手で顔を触りまくって確認する。
(顔をあげるまでの数秒間に取り繕えるところは取り繕っておかないとっ)
(ああ、でもやっぱり無理。寝起きの顔を見せられない)
頭をあげる際にシーツを引っ張り上げ、顔半分を隠した。