第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
光秀「では男を悦ばせる術も心得ている、ということか?」
光秀さんが急に意地悪な表情になり、無防備だった私はソファに押し倒された。
「え…?」
見上げれば、肘をついて覆いかぶさる綺麗な顔が間近にあった。
見下ろしてくる琥珀の目は、今まで見たことがないくらい艶やかだ。
「わぁあ!?何を血迷っているんですか!」
光秀「血迷っていない」
「えぇ…?」
(実は現代ライフに物凄く疲れていて、頭がまいってるんじゃない?)
「じゃあ、きっと気づかないうちに精神的疲労が溜まっているんですよ!」
硬い胸板を押し返すと、あっさりと光秀さんは離れてくれた。
乱れたワンピースの裾をササッと整えた。
光秀「今の反応を見る限り、初心な女だがな?」
「それを確かめるためだけに押し倒さないで下さいっ!心臓がとまるかと思ったじゃないですかっ。
百戦錬磨の光秀さんに比べれば私の経験や魅力なんて小さじ一杯ですよ!」
光秀「聞き捨てならないな。百戦錬磨と言われるほど女に手を出していないが?」
「女遊びをしていないなら、だだ洩れている色気はどっからきてるんですか!?」
光秀「さあな?」
光秀さんが俯き加減に笑うと、髪色と同じ白銀のまつ毛がよく見えた。
「………」
(ずるいなぁ、何気ない仕草がこんなに色っぽいんだもん)
「テレビ見ましょう、テレビ!」
光秀「そんなに気合を入れなくても良いだろう」
「気合い入れてテレビを見ないと、誰かに悪戯されそうなんで」
大袈裟なくらい距離を取って座ると、光秀さんが興味深そうにテレビを見始めた。
(はぁ、心臓に悪かった……)
胸を撫でおろし、テレビを見ながら感想を言い合っているうちに謙信様がお風呂から上がってきた。