第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
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「お疲れさまでした。朝から慣れないこと続きで疲れたでしょう?
お風呂に入って早めに休みましょう」
ホテルのレストランで夕飯を済ませ、部屋に戻った頃にはいい時間になっていた。
浴槽にお湯を溜めている間に、シャワーの使い方とシャンプー類の説明をする。
私の説明を受けながら、二人の目は蛇口から出てくるお湯を見ている。
「ボイラーという機械…えーと、からくり?で水を沸かし、お湯にします。
形状は様々ですが蛇口、これですね。…を捻ると、水やお湯が出てくる仕組みになっています。
よっぽどのことがない限り出てこなくなることはありません」
謙信「人力ではなく、からくりで…」
「はい。適温になるよう設定してあるので、火傷の心配もありません」
光秀「いつでも湯を使えるのか?」
「はい。四六時中いつでも使えます。
現代のお風呂はこうしてお湯に浸かるんです。ゆっくりしてくださいね?」
戦国時代は浴室を蒸気で満たす、蒸し風呂が主流だ。
温泉でもない限りお湯につかることはない。
『出てくる水はどこからくるか』『排水は?』などなど質問攻めにされ、そうしているうちに湯船がいっぱいになった。
買っておいたルームウェアを出してきて、二人に渡した。
「私は昼に軽く済ませたので、最後で良いです」
謙信様が先に浴室に向かい、私と光秀さんはリビングのソファに座った。
「着る物から食べ物まで全部違うので、疲れていませんか?」
光秀「このくらいで参っているようでは、あちらの世で仕事はできんぞ?」
そう言って笑う顔には、確かに疲労の色はなかった。
普段から動じない人だとは思っていたけど、現代に来てもそのメンタルの強さは健在のようだ。