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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)


ホテルに帰る途中、タクシーの運転手さんが眺めの良い場所で停まってくれた。


運転手「ここから見える海は綺麗ですよ」


水族館を満喫している間に日は傾き、エメラルドグリーンだった海は、夕日の色をうつしてピンクとオレンジが混ざったような色をしている。

今立っている場所から近くの島まで長い橋が架かっていて、三人で少しだけ歩いてみた。


謙信「長い橋だな。戦国の世では到底作れないだろう」


見えない橋の終わりを、謙信様と光秀さんが感心して見ている。


光秀「500年先の世がこうも進んでいるとはな…」

「戦国の世で、日本を平定しようと皆さんが頑張ったから、今の日本があります。
 貧富の差はそれぞれの事情により存在しますが、人を分ける身分はなくなり、無礼だとか、そういう謂れのない理由で命を落とす人は居ません。
 一人一人が自分の意志で自分の道を選べる時代です」


光秀さんの手が伸びてきて頭をくしゃっと撫でられた。端正な横顔は口元に静かな笑みをたたえて、少し誇らしげに見えた。


「戦国時代の皆が、激動の時代を未来へと押し進めてくれたおかげです」


眺めているうちに日は傾き、水平線に沈んでいく太陽が一日の終わりだと言わんばかりに眩く光る。


(綺麗だな………)


波の音が癒しだ。
慣れたつもりだったけど戦国ライフで少々疲れをため込んでいたみたいだ。

波の音を聞きながら日が沈んでいくのを見ていると、頭が空っぽになって神経が凪いでいく。


(ずっとこうして居たいな………)


やがて太陽は水平線に隠れてしまった。

名残惜しくて水平線の彼方を見ていると、光秀さんが手を取ってくれた。


光秀「行こう。直に暗くなる」

「ええ」

謙信「躓(つまず)くなよ?」


謙信様も空いていた手を引いてくれた。


「大丈夫ですよ。子ども扱いしないでください」


日が落ちたばかりで足元ははっきり見えている。離そうとした手を、しっかり握られた。


「二人とも過保護なんですね」


過保護は秀吉さんだけじゃなかったようだ。
二人にこんな面があるなんて知らなかった。


謙信「そうか?」

「そうですっ」


薄闇に二人分の笑いが溶け、タクシーの後部座席にまたしてもぎゅうぎゅうに乗って、ホテルへと帰った。


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