第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)
――――
平日ということもあり、イルカショーが始まるギリギリの時間でもお目当ての席は空いていた。
席について両隣りにいる二人に、うっきうきで教えてあげた。
「前列に座ると、イルカに水をかけてもらえるんですよ」
謙信「…………今なんと言った?」
謙信様が少し焦ったような声を出した時、スピードをあげたイルカ達が大きな水しぶきをあげながら目の前の水槽を過った。
プールの水面が大きくうねり、ザバッと水が上から降ってきた。
「あははっ、つめたーい!気持ち良い!!」
周りからも『きゃー』と歓声があがっている。
見ると光秀さんと謙信様の髪が濡れて、水が滴っている。
(わぁ、水も滴るいい男!)
若干それが見たくて前列に座ったので作戦成功だ。
「ふふっ、イルカに水をかけられて涼を得るなんて今しかできないでしょう?
しかも今日は暑いので、かけてくれる水の量がマシマシだそうです♪」
謙信「早くそれを言え」
謙信様は私の悪戯に眉尻をさげている。
口元は笑っているから怒っていないみたいだ。
「だって教えたらつまらないじゃないですか」
光秀「まったく…小娘にやられるとは不覚だったな」
光秀さんは滴る水を手で払いながら笑ってくれた。
始まって直ぐにイルカの洗礼を受け、私達はビショビショのままショーを鑑賞した。
イルカの輪くぐりや、高いジャンプを見ているうちに濡れていることなんか忘れて楽しんでいた。