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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第14章 9月の夏休み!(謙信様&光秀さん)


「誰にもバレていないと思っていました…」

光秀「そう思っているのはお前だけだ。
 城中の者は皆知っているぞ?」

「そうなんですかっ!?」


私の部屋から見える庭の眺めはとても良い。
廊下に出て、お花や木を見て…のんびりお昼寝をするのが癒しのひと時だった。


「恥ずかしい…もうしません!」

光秀「今更だろう。好きなように過ごせば良い。
 安土城は舞の家同然だろう?」

「それはそうですけど…」


舟を漕いでいたり、ヨダレを垂らしていたら恥ずかしすぎる。


光秀「それとも…」


言いかけて光秀さんは言葉を切った。
リラックスしていた表情は、見る間にいつもの光秀さんに戻って表情を隠した。

何か言おうとして、胸の内に押し込めてしまったようだ。

きっと『なんですか?』と聞いても答えてくれないだろう。
もう一度アザラシを見ると、まだ同じ体勢で寝ている。


「私に似ているかどうかは別として可愛いですね。
 アザラシのボディラインがいいなぁ」

光秀「ボディ…ライン?」

「身体の線ってことです」


両手を使ってアザラシの身体のラインをなぞる。
くびれのない胴体は、後ろ足にむかって細くなっていく。


「モッチリしているのかなぁ。どんな触り心地なんだろう。
 こう……抱きしめたくなっちゃいますよね」


私もアザラシの顔を水槽越しにツンとつついた。

光秀さんは私をじっと見つめ、


光秀「ああ、そうだな」


と笑って答えた。


直立不動で寝ているアザラシをしばらく眺めた後、三人でイルカショーを見るために屋外プールに向かうことにした。

アザラシの前を通り過ぎた時、謙信様が『舞に似ている…』と足を止めたのでイルカショーの時間に滑り込む羽目になった。

二人が持っている私のイメージは共通しているらしい。


謙信「眠そうにしていた時の舞のようだ」

「眠そうにしていた時なんてありましたか?」

謙信「……『早く帰れ』と言ったあの時だ」

「あっ……」


あの日は前日夜更かしをしてしまって、寝不足だった。


(うるさいから帰れって言ったんじゃなく、眠いなら早く帰って休めってことだったんだ)


勝手に悪い方に解釈していた。


「ごめんなさい、謙信様。ありがとうございます」


お礼を言うと、謙信様は薄く微笑んだ。

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